色だけじゃない、暮らしを守る「機能性塗装」
塗装にはさまざまな種類があります。
色のバリエーションだけでも、代表的な業界標準色票やブランドでは最低でも600色以上、多くのブランドでは1,000色超えという実例があります。
さらに「色」を付けるだけでなく、「機能性」を備えた塗装も10種類以上存在します。
色の数に機能性が掛け合わさることで、塗装の選択肢は数え切れないほど多様になります。
今回はその中から、機能性塗装である「遮熱(しゃねつ)塗料」と「断熱塗料」に注目します。
この二つはみなさんの生活の中で効果を発揮している塗料です。
身近な場所で使われているこの塗料は、ショッピングモールの屋根・体育館の屋根・倉庫や工場、また住宅での使用も一般的に使用されています。
これらの塗料は、見た目では分かりにくいものの、日常の快適さに静かに貢献しています。
それでは、それぞれに目線を向けて、日常生活の中でどのように貢献してくれているのか、仕組みから、どのような部面でおすすめできるのかをご紹介していきます。
「遮熱塗料」と「断熱塗料」の違い
では、早速「遮熱塗料」と「断熱塗料」についてどのようなものなのか紐解いていきましょう。
双方には一般的な塗装とは違う、機能性に秘密があります。
その機能性とは、暑さや寒さの原因となる「熱」と上手につき合うことです。
たとえば、屋根や外壁に遮熱塗料を塗ると、真夏の強い日差しにさらされた屋根表面の温度が大きく下がり、室内の熱の入り込みを抑えることができます。
また、断熱塗料で建物を塗装すると、冬場に外気の冷たさが室内に伝わりにくくなり、暖房の効きがよくなるなど、暑さや寒さを感じやすい時期の室内温度の変動を和らげてくれます。
「夏になると家の中がどうしても暑い」「冬は暖房をつけてもなかなか暖まらない」そう感じたときに、屋根や外壁の塗装を見直してみると、日々の過ごしやすさが変わっていく、それが「遮熱塗料」と「断熱塗料」の特性です。
ここからは、両者の性能や使いどころの違いを詳しく解説します。

①太陽の熱を跳ね返す遮熱塗料
遮熱塗料は、太陽光の中でも特に熱の原因となる「近赤外線」を反射することで効果を発揮します。
太陽の熱を反射して、建物表面や屋根の温度上昇を抑える塗料です。
通常の塗料は太陽光の熱を吸収して塗膜や下地の温度が上がりますが、遮熱塗料は特殊な顔料や反射材料を含み、光と熱を跳ね返す仕組みになっています。
これにより塗装面の温度上昇が抑えられます。
つまり、太陽が照りやすい場所に施工することで、日射による熱の吸収が抑えられるため、建物内部が快適になる機能を持ち合わせています。

大きなメリットとして挙げられるのが、夏場の室内温度を抑えられる点です。
遮熱塗料を屋根や外壁に塗布することで、塗装面の表面温度が上がりにくくなり、その結果、室内に伝わる熱も軽減されます。直射日光を受けやすい建物では、体感温度の差を感じやすいケースもあります。冷房効率の向上と節電効果が期待できる点も魅力です。
室内温度の上昇が抑えられることで、エアコンの稼働時間や負荷が軽減され、電気代の節約につながります。
環境負荷の低減という面でも、遮熱塗料は注目されています。
そして建材の保護という役割も見逃せません。
屋根や外壁は日々強い日差しと熱にさらされていますが、遮熱塗料を使用することで、過度な熱による塗膜や屋根材の劣化を防ぐことができます。
これにより、建物全体の耐久性向上にも寄与します。
さらに、製品によっては耐用年数が15〜20年と比較的長いものもあり、長期的に見ればメンテナンス回数を抑えられる点もメリットの一つです。
一方で、遮熱塗料にもいくつか注意点があります。
まず、断熱塗料よりは安価ですが、一般的な塗料と比べると初期費用が高くなる場合があります。
そのため、導入時にはコストと期待できる効果のバランスを考えることが重要です。
また、遮熱塗料は冬場の断熱効果はほとんど期待できない点も覚えておきましょう。
夏の暑さ対策がメインの塗料であるため、寒さ対策には向いていません。
さらに、塗装の効果を最大限に発揮するには、下地の状態や色の選択が非常に重要です。
下地が不十分だと塗料が密着せず性能が落ちたり、ムラができたりする可能性があります。
また、塗布は均一に行うことが求められるため、施工の丁寧さも効果に大きく影響します。
②熱の移動をコントロールする断熱塗料
断熱塗料は、熱の伝わりを抑える性能を持った塗料のことです。
熱は物体から物体へ常に移動します。
その移動する熱が外側から内側へ、または内側から外側へ急激に通り抜けるのを遅くし、熱の移動を軽減するのがこの塗料の最大の特徴となっています。
空気自体が熱を伝えにくい性質を生かし、断熱塗料には空気を含んだ発泡ガラスビーズやセラミックミクロンボールと呼ばれる微細な粒子が含まれています。
これを塗料と含めることで、熱の伝わりを遅くします。そのため、夏は外の熱が室内に入りにくく、冬は室内の暖かさが外に逃げにくくなる効果があります。

断熱塗料には、家の住みやすさを高めるさまざまなメリットがあります。
まず大きな特長として挙げられるのが、室温を一定の温度に保ちやすく、節電につながる可能性がある点です。
断熱塗料は熱の伝わりを抑える性質を持っており、外気の暑さや寒さが室内へ伝わるスピードを緩やかにします。
そのため、夏は外の熱が入りにくく、冬は室内の暖かさが逃げにくくなり、冷暖房の効率向上や電気代の節約が期待できます。また、断熱塗料は熱対策だけでなく、防音性が優れており、また冬の結露の軽減といったあわせて期待できる効果も魅力です。
それは塗装が室内と外気の間のクッションのような役割を果たすことで、外部の音をわずかに和らげたり、温度差によって発生しやすい結露を抑えたりする効果があるとされています。
施工面でも、断熱塗料は比較的導入しやすい方法です。
壁や屋根に塗装するだけなので、断熱材を入れ替えるような大規模工事は不要で、工期や施工コストを抑えやすいという利点があります。
一方で、断熱塗料には注意すべきデメリットも存在します。
まず、コストが比較的高めである点です。
断熱機能を持つ塗料は一般的な塗料より価格が高く、初期費用がかかります。
そのため、期待できる効果と費用のバランスを考えながら導入を検討する必要があります。
さらに、断熱効果を十分に発揮させるには、規定の膜厚を確保することが非常に重要です。
塗膜が薄すぎると熱の移動を抑える性能が低下してしまうため、塗布量や回数を守ることが求められます。
また、下地処理を入念に行うことも欠かせません。
塗装面の状態によっては、塗料が十分に密着せず、効果や耐久性に影響する可能性があるからです。
このように、断熱塗料はメリットとデメリットの両面を理解した上で、住まいの状況や目的に合わせて選ぶことが大切な塗料だと言えるでしょう。
断熱塗料と遮熱塗料の違い

断熱塗料と遮熱塗料の違い PDF版
日々の快適さは塗装で変わる。遮熱塗料と断熱塗料の使い分け
みなさん、日々の暑さや寒さに悩まれている方が多いと思います。
それは外にいる時だけではなく、室内にいる時のちょっとした不快な感情も含まれます。
その環境に慣れてしまう前に、ちょっとした不快からストレスなく過ごせるように「遮熱塗料」と「断熱塗料」どちらがそのお悩みを解決していくのか、見ていきましょう。
今回はそれぞれ一般家庭向け・業者向けのお悩みに対し、どちらの塗装が合うのか選別していきたいと思います。
みなさんも「これ、思ったことあるかも」と自分の家や職場での生活を思い出しながら一緒に解決を目指しましょう。
まずは一般家庭向けのお悩みです。
例えば…
・暑いけど、エアコン我慢しちゃう
・部屋の場所によって、暑いところと涼しいところがバラバラで温度調整が難しい
・雨音が大きすぎて寝れない
・塗り替したいけど、ただ塗るだけじゃなあ
・どれだけ部屋をあったかくしてもなんだかあったかくならないんだよな
・冬の朝、布団から出た瞬間がつらすぎる
次に業者側向けの悩みです。
例えば…
・夏になると、最上階や吹き抜けが異常に暑い
・設備更新は大掛かりすぎて、現実的じゃない
・屋根が直射日光を受けて、中がサウナ状態
・建物が大きすぎて、断熱工事は現実的じゃない
・夏は中に入った瞬間、空気が重い
・機会の音が反響して、うるさく感じる
これらのお悩みに合わせて、「遮熱塗料」と「断熱塗料」を振り分けていきます。
一般家庭向けのお悩みです。
「暑いけど、エアコン我慢しちゃう」
A.遮熱塗料 断熱塗料
理由:夏の暑さの原因となる日差しを根本から避けたいならば遮熱塗料
理由:エアコンの効きをよくするならば断熱塗料
「部屋の場所によって、暑いところと涼しいところがバラバラで温度調整が難しい」
A.断熱塗料
理由:断熱塗料は、室内の温度を均一に近づける
「雨音が大きすぎて寝れない」
A.断熱塗料
理由:断熱塗料は、膜が厚く、音の振動を和らげる効果がある
「塗り替したいけど、ただ塗るだけじゃなあ」
A.遮熱塗料
理由:遮熱塗料は、断熱塗料よりも比較的安いため、料金面で見るならば遮熱塗料
「どれだけ部屋をあったかくしてもなんだかあったかくならないんだよな」
A.断熱塗料
理由:断熱塗料は、室内の熱を逃がしにくくする
「冬の朝、布団から出た瞬間がつらすぎる」
A.断熱塗料
理由:断熱塗料は、室内の熱を逃がしにくくするので、寝る前に温めた温度を保つことができる
次に業者側向けの悩みです。
「夏になると、最上階や吹き抜けが異常に暑い」
A.遮熱塗料
理由:夏限定ならば太陽光の影響が大きいため、日差しの影響を受けにくい遮熱塗料
「設備更新は大掛かりすぎて、現実的じゃない」
A.遮熱塗料 断熱塗料
理由:既存設備を変えずに対策できる
「屋根が直射日光を受けて、中がサウナ状態」
A.遮熱塗料
理由:遮熱塗料は、日差しの影響を受けにくい
「建物が大きすぎて、断熱工事は現実的じゃない」
A.遮熱塗料 断熱塗料
理由:既存設備を変えずに対策できる
「夏は中に入った瞬間、空気が重い」
A.遮熱塗料 断熱塗料
理由:遮熱塗料は、日差しの影響を受けにくい
理由:エアコンの効きをよくするならば断熱塗料
「機械の音が反響して、うるさく感じる」
A.断熱塗料
理由:断熱塗料は、膜が厚く、音の振動を和らげる効果がある
いかがでしたでしょうか?
このように暑さや寒さの問題は目に見えにくい分、後回しにされがちですが、日々の積み重ねが快適性や作業効率、さらにはコストにも確実に影響していきます。
遮熱塗料と断熱塗料は、どちらが優れているかではなく、「どんな悩みを、どこで解決したいか」によって選ぶましょう。
一般家庭では、日々の暮らしの中にある小さな我慢や違和感を減らすために、業務用施設や工場では、大がかりな設備更新に頼らず現実的に環境を改善する選択肢として活用できます。
今感じているその悩みが、遮熱で軽くなるのか、断熱で改善するのか、あるいは両方を組み合わせるべきなのか。
この整理が、ご自宅や施設、職場環境を見直す際のひとつの判断材料になれば幸いです。
ただ塗り替えるのではなく、悩みに合わせて選ぶ塗装へ。その一歩を考えるきっかけとして、ぜひ役立ててください!
最後に
これまで見てきたように、遮熱塗料と断熱塗料は、どちらか一方が優れているというものではなく、それぞれ異なる悩みや環境に応じて力を発揮する塗料です。
夏の強い日差しによる暑さを抑えたいのか、季節を問わず室内の温度変化を穏やかにしたいのか、あるいは音や結露といった副次的な問題まで含めて改善したいのか。
その目的によって、選ぶべき塗料は変わってきます。
これらの塗料は、見た目では分かりにくいものの、日常の快適さに静かに貢献しています。毎日過ごす家の中や、働く人が集まる施設、業務を支える工場や倉庫において、その「気づきにくい変化」は、暮らしや作業環境の質を確実に底上げしてくれます。
暑さや寒さを我慢することが当たり前になる前に、また大がかりな設備更新に踏み切る前に、塗装という選択肢でできることを知っておくことは、大きな意味を持ちます。
ただ色を塗り替えるだけではなく、建物の役割や使われ方、そこに集う人の過ごしやすさまでを考えることが、これからの塗装に求められる視点なのかもしれません
このブログが、ご自宅や施設、職場環境を見直す際のひとつのヒントとなり、悩みに合わせた塗料選びを考えるきっかけになれば幸いです!